一人の男の子が居ました。
小さい頃から気が優しく、
相手のささやかな機微に気付く、
それはそれはとても心の綺麗な少年でした。
「あれ、きょうはめがねかけてないの? 」
「ねぇ、かみのけきった? 」
幼稚園児にこんな事を言われたのは、
後にも先にもこの子一人です笑。
その子は、
真っ直ぐ綺麗なままですくすくと育ちました。
思ったことを思った通りに言ってしまう分、
周りに誤解される事もあり、
先生によっては彼を厄介者扱いする人もおりました。
頑固、とでも言えば良いのでしょうか。
確かにトラブルが全くないわけではなかったと思います。
ただ、
彼はどこまでも素直で心が綺麗でした。
間違えていると思ったら、
誰だろうとどこだろうと大きな声で謝れました。
「ごめんなさい! ぼくがわるかったです」
私は彼が好きでした。
年相応にすれていくクラスメイトの中で、
色々な模倣の色に染まっていく。
でも彼だけは何にも染まらず、
彼の色でした。
高学年になったある日、
彼が中学受験をすると噂に聞きました。
しかも、
とてもとても競争率の激しい公立中高一貫校。
彼が受験するとは思っていなかったので、
私はびっくりしました。
その事を正直に娘に伝えると、
「でも、あの子はめちゃくちゃ頭がいいんだよ」
と言いました。
ごめんなさい、
私は、
小学生同士の「頭が良い」なんて、
所詮は学校のテストの点数で、
それと受験に合格できるかどうかは別問題だと思い込んでしまっていました。
そして6年生の冬。
彼は志望校に不合格の通知を貰いました。
そこまでならよくある話です。
ただ、謝恩会でその子のママが、
「おめでとう! 」
と同じ志望校に受かって有頂天になっていたママに言っているのを聞いたのです。
ママ同士も子供同士も、
特別仲が良かったわけではありません。
素通りしようと思えば出来たでしょう。
したとしてもきっと、
誰も気を悪くなんてしない。
受かったママは嬉しさから、
受験にまつわる色んな話をしていました。
聞きたくないでしょう?
我が子が頑張っていたらその分だけ、
余計に岐路を分けた相手の自慢なんて耳を塞ぎたいでしょう。
でも落ちた子のママは、
そこに自然に近寄り、
「おめでとう」
と声をかけたのです。
私はその場を離れました。
あまりにいたたまれなくて、、、、。
後で元の輪に戻ると、
落ちた子のママは後半涙ぐみながらもお互いの受験話に花を咲かせ、
そして受かった子の努力を讃え、
エールを送って別れたとのことでした。
彼の心の清らかさが、
私はここで痛いほど理解できました。
真っ直ぐで綺麗な人たち。
私が彼女と話したのは、
ここで最後になりました。
進学先が娘と同じ地域一のお勉強中学になると噂で聞いていました。
事実、
その中学の説明会でも彼女を見掛けたので、
私はすっかり一緒の中学になる気でいました。
3年間一緒に頑張って高校ではリベンジを果たそうね。
勝手にそんな仲間意識を持っていました。
が、
配られた名簿に、
彼の名前はありませんでした、、、。
学区内の何の変哲もない中学に入学したと、
後から噂で知りました。
そんな思い出から1年と半分。
ある日、
塾から持ち帰った冊子を親子で眺めていてとてもびっくりしました!
その冊子には毎月ある模試の成績優秀者を掲載している冊子なのですが、
順位のかなり上の方に彼の名前が載っていました。
娘と同じ校舎ではありませんでしたが、
彼の住んでる住所からならきっとそこに通うであろう校舎名でした。
間違いなく彼でしょう。
もしや、、、
と思い他教科を探すと、
どの教科にも彼の名前があるじゃありませんか!
もしやもしや、、、
過去3ヶ月分位の冊子を引っ張り出してみたら、
いるじゃないですか(゜ロ゜)
娘が選抜クラスのテストを受けられないでいた頃も、
しっかりその子は選抜クラスに在籍していて、
更にランキングされていました!
私は嬉しかったです(* ´ ▽ ` *)
今も彼はしっかりと前を見て歩いてることがわかって、
凄く凄く嬉しかったです。
こんなところでキミに会えるとは思ってなかった!
頑張って欲しい!
きちんと挫折して、
目を剃らさずに転んで、
傷を負っても立ち上がって、
そうして、
うんとうんと速く走れるようになった!
思わず彼のお母さんに連絡を取ろうとスマホを手に取り、、、
でもやめました。
いつか、
娘もここに載ったら、
彼女はきっと気付いてくれるでしょう。
私と娘は、
そうやって彼女たちに気付いて貰いたい。
せっせと頑張る彼に久しぶりに出会えて、
娘もまたモチベーションを新たにしたみたいです♪
二人とも頑張れ♪
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